確かなこと。

良守編|2016/10/28 posted.

いつもの夜がやってくる。

あの断頭島でのことがあったあとでも
あの時音の・・・を覗いてしまったあとでも(これはバレていないけど)

変わらず夜のとばりは降りてきて、烏森の地にて俺たちは妖を狩る。

時音は以前よりかは少~しだけ
俺に優しくなった?ような気がしていたのだけれど。
今夜、仕事と関係のない話を振ったら却下されてしまった。

「二度は言わない。仕事しな!」ってばっさり。

ちょっとくらい、世間話してもイイじゃん、ダメなの?

で、俺も気合入れて仕事にかかり、妖を追いかけていたら、時音に

『ドッカ~ン!!』  ぶつかってしまった。

それだけなら、まぁ~日常的にあることなのだけれど。
その・・正面から、いや、つまり。
時音に真正面からぶつかって、その拍子にその・・・・

「ご、ごめっ!」

ガバっと俺は時音から離れ、とりあえず謝った。
時音は、何が起こったのかわからないといった様子でしばし呆然としていたけれど、
次の瞬間、ちょっと困った顔をしながら「事故だもん、しかたないわよ。ケガない?」

こんなときでさえ、時音は本当に冷静だ。
事故、の一言で片づけちまうんだもんな~。

あの日から、俺は調子が狂いっぱなしだというのに。

たとえ一瞬でも
かすめる程度にしかふれなかったけれど
俺の唇が時音の唇のやわらかさを、あたたかさを
ずっと忘れてくれないんだ。

授業中も、
食事中も、
昼寝をしようと目を閉じても

何していてもふっとよみがえってくるあの感触。
キス、と呼ぶにはあまりにあっけない接触だったのに。

思い出しては照れてしまう。
あの日から、時音を見るたび、ついその桜色の唇に目がいってしまう。

ぼんやりしていると、影宮が話しかけてきた。
「お前さ~最近、前にもまして心ここにあらずって感じだよなぁ~」
そして俺の隣に腰をおろすと
「なんかあったのか?雪村と」

結論から言おう。

俺はコイツにすべてを話してしまった。
だって、「友達だろ?」なんて言うもんだから。
それに俺にも、聞いてくれ~って気持ちがあったんだよな。
時音との「唇かすかに接触事件」のことを、さ。

影宮は最初、ギョっとした顔して驚いたけど
すぐにニヤニヤしながら、聞いてきた。
「で?どんな感じだった?」
「ど、どんな感じって・・・その、ただ、かすめたくらいなもんだし」
しどろもどろに答えると
「まぁまぁ~ホントのこと言えよな、おぼえてるくせに」
と、まるで俺の心の中まで見透かしているかのような発言。

「や、やわらかかった」

影宮のこと見ることもできず、うつむいたままつぶやいた。
からかわれるかと思いきや、ヤツはふ~っとためいきをついて、
そして「今度からあの女の口もとばっか見ちゃいそうだ」だって。

おい影宮。
それは、俺も一緒だぜ。つ~か、そこにしか目がいかない。

で。

当の時音は、というと、あれからも態度ひとつ変えることもなく。
ほんとうに今までと同じ様子で毎日を過ごしている。

俺がまともに時音を見られずにいることにも、とりたてて関心を示すでもなく、

挙句、

「あんた、相変らずつまんなそうな顔してるのねぇ」とためいきつかれる始末だ。

ったく、どんだけ天然なんだよ。

それでもひとつ、確かなこと。

俺のファーストキス。

相手は、大好きな大好きな時音。

~Fin.~

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author: lala (ララ)

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