最後は結局、良守のお話ですか?その3。(3話完結)
夜の烏森学園は、今夜も妖でにぎわっている。
だから今夜も。
良守と時音は戦うのだ。
◇◇◇
少し落ち着いたところで、良守は屋根の上の時音の隣に腰をおろす。
いつもと同じ凛とした表情で前を見据える時音は
このごろなんだかまたきれいになったな・・と良守はその横顔を盗み見て思う。
「あの、さ。今日、高等部のオトコに声かけられたんだけどさ、なんかおまえの知り合いだとかいう。」
良守が不機嫌そうに言う。
「君、雪村さんとどんな関係~?ってさ。」
「ふ~ん。で、なんて答えたの?」
「知り合いなら、あいつに直接聞けよ、ば~か!って言ってやった!」
時音はふふっと笑う。
「最後のば~か!はウソでしょう。あんたって結構、そういうの常識的だもん。」
良守は一瞬、その笑顔に見とれてしまい、ぼ~っとなったがハっとして続けた。
「お、お前なぁ・・そういうカオ、あんましないほうがイイぞ。
そんなのするからその・・ああいうのがうろうろするようになんだろ!自覚しろよな、ちょっとは。」
一気に畳み掛けると良守は少し頬を染めた。
「自覚しろ?笑っちゃいけないわけ?」
「そうだよ!!勘違いするヤツだっているんだよ。」
「は?何を勘違いするの・・?」
時音は良守をキっとにらみつけた。
はぁぁ~っと良守はためいきまじりに言葉を続ける。
「あのさ、時音。なんでそいつが俺らの関係聞いてきたかわかってる?」
そして一瞬、間を置いて時音を見て。
何か言おうとしたが、じ~っと見つめる時音の目に、ふっと力を抜いた。
今日の高校生にはムっとしたが、なんだか同情めいた気持ちが生まれてくる。
もういいよ、とつぶやいてからあらためて尋ねた。
「聞かれたらどう答える?俺らのこと」
「そうね~・・・・仕事仲間、とは言えないしなぁ~何か仕事してるの?って言われたら答えらんないし」
良守は「そこですか・・・」とゴニョゴニョしつつ、うんざりした表情で時音を見ている。
「時音、そいつに心当たりある?」
時音はしばし考え込んでから、ああ!と顔を上げた。
「屋上の人かな・・?メモ、もらった。」
「そいつだろ・・・・(あわれなヤツ)」
良守は、さらに続ける。
「おまえ、あんま笑うな!その、ほんと俺、気分悪くなるし。」
「は?気分悪くなるって何それ!」
ズゴ~ン!!
時音の結界が良守の頬を打った。
「あんた、いいかげんにしな!」
「ち、ちげ~よっ!俺はだな、ただ・・・」
「しっ!!来たよっ」
新たな妖の侵入だ。
夜は長い。
~fin.~
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